皆様、大変ご無沙汰をしております、12期生の八郷隆弘です。私は本年6月に本田技研工業(株)の社長に就任しました。とは言っても、名言・金言が書けるわけではありませんので、就任時に発信した「チーム」ということについて、私の想いを述べ、皆様のご参考として頂ければ幸いです。
さて、私の記憶に鮮明なクルマの一つに、90年代初頭に開発されたオディッセイというミニバンがあります。日本で開発し、カナダに建設する工場で作るという変わった素性のクルマでした。
プロジェクトのメンバーは、日本人、米国人、カナダ人、さらに、その素性も、開発の専門家、製造のプロ、購買のエキスパートと、まさに多種多様な仲間たちでした。私はそのまとめ役でしたが、文化の違い、役割の要求からか、話合いは議論百出、討論は喧々諤々という状況です。
それでも、「良いクルマを創って、お客さんを喜ばせよう」という目的が共有されていて、討論が決裂するどころか、むしろ、斬新なアイデアが次々に生まれ、誰もが予想以上の力を発揮してくれました。その結果、自信を持ってお薦めできるクルマができたことは言うまでもありません。
私は県相時代、サッカー部で活動していました。ここにも、同じように個性豊かな仲間たちがいましたが、誰もが「ゲームに勝とう」という目的を共有するチームワークもありました。思えば、私の「チーム」についての意識は、この県相時代に芽生えたのかも知れません。「組織」がお仕着せの集団であるなら、「チーム」は目的・目標を共有する自主性の豊かな仲間である、との想いはここが原点になっているはずです。
私は社長就任にあたり、「チーム」という言葉を何度も使いましたが、この「チーム」には、そんな、県相時代の思い出が篭っているとお考えください。
皆様には、是非、そんなご理解いただき、今後の「チームHonda」を見守って頂ければと思っています。